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状態別の5つのグレード

麻痺の程度により5つに分類

椎間板ヘルニアの麻痺の程度は1から5のグレードに分けて分類する事が多いです。 胸腰部と頸部の評価は異なる指標があります。こちらのページでは胸腰部の椎間板ヘルニアのグレードをご紹介します。

胸腰部の椎間板ヘルニアのグレード

胸腰部の椎間板ヘルニアのグレードは以下の通りに分けられます。

グレード1:腰を丸めて痛そうにしている。動きが悪い。
グレード2:酔っぱらったようにふらふら歩く。歩く時に爪を擦っている(ナックリング)。
グレード3:後ろ足を動かす事ができない。
グレード4:足先の皮膚をつねっても痛みを感じない。
グレード5:足先の骨をつねっても痛みを感じない。

グレード1について(胸腰部)

「腰を丸めて痛そうにしている。動きが悪い。」グレード1では、「いつもと様子が違うかな?」と飼い主が心配になる程度の症状が出ます。この時に発見できれば治療の幅も広く、治療による完治も目指しやすくなります。症状にもよりますが、保存療法(内服薬やコルセット等)で治る可能性が高いです。

グレード2について(胸腰部)

「酔っぱらったようにふらふら歩く。歩く時に爪を擦っている。(ナックリング)」グレード2では、神経の麻痺が出始め、まだ四足で自力で歩けるもののふらついてしまったり、明らかに通常の歩行の様子とは異なります。まだ歩けるからこのまま歩かせて自然治癒を、を考えているうちに更に症状が悪化してしまうことがあります。グレード2までであれば症状にもよりますが、内科的治療でも回復の可能性は高いです。

グレード3について(胸腰部)

「後ろ足を動かす事ができない。」このグレードまで進行すると、自力での歩行が困難となり、後ろ足を動かせても立てなくなってしまいます。なんとか前足の力で立ち、後ろ足を引きずりながら歩いたりもします。この時はまだ自力での排尿は可能です。

グレード4について(胸腰部)

「足先の皮膚をつねっても痛みを感じない」

グレード4では、神経麻痺が重度になり、そもそも痛みを感じない状態です。グレード3の状態とは異なり、自力で歩行することは不可能となり、排尿することも困難となります。なお、この状態は「浅部痛覚の消失」と表現し、皮膚のような体表面に近い部位の痛みを感じる感覚がなくなります(もしくは低下する)。この時に判断に注意が必要なことがあります。つねるという刺激に反射してグレード4の状態であっても足を引っこめることもありますが、これは「引き込み反射」と言って痛みに対する反応ではないので、区別が必要です。

この状態では早期の外科的治療が必要となります。手術の前には、病変部位を確定させるための画像診断が必要です。脊髄造影検査やCT検査でもヘルニアを起こしている椎間板の位置はわかりますが、脊髄が受けた損傷の程度の情報も同時に得られるのはMRIのみです。(当院はCTならびにMRIを完備していますので、一度の麻酔でCTとMRIを撮影することが可能です)

なお、グレート4とグレート5(多くの報告ではグレード5)の5〜10%で、「進行性脊髄軟化症」を生じる可能性があると報告されています。進行性脊髄軟化症を発症してしまった場合、神経麻痺が徐々に悪化していき、最終的には呼吸不全でなくなってしまう事がほとんどです。

グレード5について(胸腰部)

「足先の骨をつねっても痛みを感じない。」

ここまで症状が進行すると、完全に運動能力を失った、完全麻痺状態です。グレード4よりも症状が深刻で、筋肉や関節などは痛みを感じません。この状態は「深部痛覚の消失」と表現します。尻尾も含め、力を入れて触れても痛みを感じることができません。

グレード5の場合には、一刻も早く外科手術を行うことが重要ですが、ここまで進行していると手術を行なっても再び歩けるようになる確率はあまり高くありません。「進行性脊髄軟化症」を発生する可能性もあるため、このグレードまで進行する前に治療を行うことが重要です。

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