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手術方法(外科的治療)

人工靭帯を通す方法と脛骨の角度を調整する方法

前十字靭帯が損傷・断裂することで、脛骨が前に突っ張る症状が生じるようになります。手術では脛骨を正常な位置へ戻すこと、靭帯機能を強化し再び脛骨が前に出ないことを目的として行います。

手術では、ダメージを受けた靭帯そのものを修繕するのではなく、
・炎症を取ること(損傷した靭帯や半月板を取り除く)
・膝の関節を安定化すること
によって運動機能の回復による正常歩行の実現を目標としています。

なお、本ページで紹介している以外にも数多くの術式が存在しますが、当院ではよりリスクの少ない術式として、人工靭帯を通す方法では「Flo法」を、脛骨の角度を調整する方法では「TPLO法」を採用しています。

メリットとデメリット

それぞれの方法にはメリットとデメリットがそんざいします。

人工靭帯を通す方法のメリット

・専用の道具がほとんど必要ない

人工靭帯を通す方法のデメリット

・関節が安定する前に人工靭帯がゆるんだり、切れたりして再度靭帯断裂が起きる可能性がある
・適応となるのは小型犬のみ

脛骨の角度を調整する方法のメリット

・靭帯にアプローチするのではなく、関節全体の安定化を図るため、膝関節が安定しやすい
・世界中で行われおり、術後経過の安定性が証明されている
・人工靭帯を通す方法より回復が早い

脛骨の角度を調整する方法のデメリット

・手術専門の器具を揃える必要があり、人工靭帯を用いる手術より高額になりやすい

人工靭帯を通す方法(関節外制動法)

フロー法

断裂してしまった前十字靭帯の役割を、ファイバーワイヤーなどの丈夫な糸を用いてだいたいする方法です。一度切れてしまった靭帯は元に戻りませんので、その代わりに同じ機能を持つ人工的な靭帯機能を設けようというものです。この方法は主に小型犬や体重の軽い犬に適応されることの多い方法です。人工靭帯を通すこの関節外制動法は、ラテラル・スーチャー(Lateral suture)法と呼ばれることもあります。種子骨と脛骨に穴を開け、輪をかけるように設置します。

タイトロープ法

丈夫な糸で断裂した前十字靭帯の役割を代替するという基本的な考え方はFlo法と同じですが、糸の通し方が異なります。大腿骨遠位・脛骨近位にドリルで穴を開け、タイトロープと呼ばれる人工繊維を通し固定します。英語では本術式はTight ropeと表記します。

スーチャーアンカー法

種子骨の手前側の大腿骨に糸付きビス(スーチャーアンカー)を埋め込み、丈夫な糸で脛骨とを繋ぎ、関節の機能改善を促すための方法です。英語では本術式はSuture Anchorと表記します。

脛骨の角度を調整する方法

TPLO法(脛骨高平部水平化骨切り術)

前十字靭帯の損傷してしまった膝関節の関節部分の形状を変化させることで膝関節の安定性を上げる方法です。TPLO法では骨の構造を変化させて膝関節の安定性を得るため、これまでの方法よりも早く機能回復が得られることが知られており、当院でも積極的に実施しています。

TPLO法では、脛骨の上部(高平部)を専用の骨切り器具で三日月状に切断し、骨片を回転させ角度を変えて再設置することで、脛骨の角度を調整するものです。角度を調整したのちには、金属のプレート(インプラント)で固定させます。当院で多く実施しているのがこのTPLO法です。英語ではTibial Plateau Leveling Osteotomyと表記します。

TTA法(脛骨粗面転移術/進化術・前進術)

TTA法は脛骨の上部(高平部を)変位させることなく、膝関節の力学的安定化を図る術式です。TPLO法では三日月状に骨を切りましたが、TTA法では脛骨粗面部分を切断したうえで角度を調整し、金属のプレートで固定させます。脛骨に生じた隙間にはスペイサーと呼ばれる、隙間を埋めるための金属を固定します。英語ではTibial Tuberosity Advancemenと表記します。

CBLO法(回転中心に基づく脛骨高平部水平化骨切り術)

脛骨を切る意味では、TPLO法やTTA法と変わりませんが、大きく変わるのはその切断範囲です。脛骨の断面を三日月状に切断し、切り出した骨を所定の角度を回転させ、金属のプレートで固定させます。ワンちゃんが足に体重をのせた際に、脛骨の前方へ移動や滑りを打ち消すように矯正します。 英語ではCORA Based Leveling Osteotomyと表記します。

TTO法(三点脛骨骨切り術)

脛骨に三点骨切りを行い、楔型の骨片を切り取りる方法です。脛骨の角度を調整し、脛骨を金属プレートで固定させます。英語ではTriple Tibial Osteotomyと表記します。

参考:関節内法

関節「外」法があるということは、関節「内」法もあるのでは、とお気づきになった方もいるのではないでしょうか。関節外法は文字通り関節の外を、関節内法は関節の内を処置することで回復を目指す方法です。

関節外法では人工的な糸を用い、関節の外側から靭帯機能の代替を目指します。一方、関節内方ではワンちゃん自身の筋肉(大腿筋膜)や人工靭帯が用いられます。現在国内ではあまり多く用いられている方法ではありません。関節内法で有名なものには、オーバーザトップ(Over-the-top)法というものがあります。

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