症例で見る

手術方法(外科的治療)

手術の目的

膝蓋骨脱臼手術の目的は、2つあります。

A:膝関節構造の位置不良(膝伸展機構のアライメント不良)を正す
B:大腿骨滑車における膝蓋骨を安定させる

これら2つを達成するために、手術前、手術中はこれらの異常とその対処法を常に考慮することが重要です。各症例により、用いる手術方法はケースバイケースです。最適な手術が行えるよう、手法を組み合わせて実施します。

一般的には、2歳以下の若齢犬で運動が好き、そして症状がグレード2以上の場合には重症化を防ぐために手術をおすすめしています。脱臼は症状が進行してしまうと、骨や靭帯への影響が大きくなるため、最終的に歩けなくなってしまうことがあります。経過観察を行い、症状の進行を確認した後や症状が重い場合には手術を行う方が良い一方、体力や術後ケアを考慮し手術は控えた方が良いと判断される場合には内科療法を採ることもあります。

A:膝関節構造の位置不良を正す目的のもの

脛骨粗面転移術(進化術・前進術)

内方脱臼の場合、多くは大腿骨に対して脛骨が大きく内側まで捻れています。この骨どうしの捻れやゆがみそのものを治すのは難しいため、靭帯がくっついている出っ張った骨(脛骨粗面)だけ切り離して外側にずらしてピンで止めます。膝蓋骨が外側に外れてしまうワンちゃんの手術では逆向き(内側)に動かします。膝蓋骨靭帯を脛骨粗面に付着させたまま骨へのアプローチを行うため、靭帯には影響を与えません。

内側(外側)支帯切離

膝蓋骨を内方あるいは外方に必要以上に引き寄せようとする筋肉を切離します。膝の内側には縫工筋と内側広筋という2種類の筋肉と関節包という袋があるので、膝の中のコンディションによって、これらを切り離します(内側支帯切離術)。それに対して、外側の縮まった組織は縫い縮めます(外側支帯重層術)。

関節包縫縮術

関節は関節包という構造物(関節を取り囲む組織。外側は線維性膜、内側は滑膜で構成)で包まれています。内方脱臼では外側の、外方脱臼では内側の関節包をきつく縫い縮めることで、正しい膝関節構造の位置へ整復するものです。

大腿骨あるいは脛骨の骨切り術

骨のねじれや歪みにより筋肉が常に張った状態になっている場合に行う、骨を切って正常な状態に戻す術式です。大腿骨あるいは脛骨を一部切除し短くすることで、筋肉にゆとりを持たせます。かなり重度に進行した場合に適応となります。

関節外法/脛骨内旋制御術(Flo法・LSS)

強度の強い糸(セキュロス社製ナイロンやエチボンド)を腓腹筋種子骨と脛骨の骨孔に通し関節の外から固定することで、膝関節の不安定を無くす方法です。膝蓋骨内方脱臼の症例では、外側側副靭帯の緩みによって、内反膝と脛骨内旋が生じているケースがあります。

B:膝関節構造の位置不良を正す目的のもの

滑車溝造溝術

膝蓋骨は本来、大腿骨に存在する滑車溝という溝に収まっています。先天的な膝蓋骨脱臼を持つ動物では溝の深さが浅く、膝蓋骨が外れやすいことが多いので、人工的に溝を作ります。

溝を深くする方法は大きく分けて、軟骨ごと削って深くする方法(滑車溝切除術)と軟骨表面を残して深くする方法がありますが、最近では軟骨を温存する方が望ましいとされています。

溝を深くする方法

軟骨表面を残して溝を深くする方法には、以下の3つがあります。骨の形やワンちゃんの体格によって判断します。

1、軟骨表面だけを残して下の骨を削る方法(滑車軟骨形成術)
10ヶ月までなら、軟骨を剥がせ、その下を削りまたかぶせることができると言われています。

2、V字型に溝を深くする方法(楔状造溝術)
滑車溝を三角形に切り取る術式で、滑車溝を深くする方法です。脛骨を三角に切り出し、下の部分を削って戻します。

3、ブロック型に溝を深くする方法(ブロック状造溝術)
まず滑車溝を四角に切り取り、次に中の骨を削り取ります。最後に、切り取った四角のブロック状の骨片を戻す術式です。

滑落防止スクリュー設置術

膝蓋骨を覆う靱帯のすぐ隣にスクリュー(ねじ)を設置し、これを越えて脱臼するのを防ぎます。

千葉院以外のグループ動物病院

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