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犬の前十字靭帯損傷について②

2019年3月1日

みなさんこんにちは。ONE千葉どうぶつ整形外科センターです。

今回も、過去のFacebook記事を紹介してまいります。


(2018年10月掲載記事より)

先日はワンちゃんの前十字靭帯についてお話ししました。

膝にある前十字靭帯は年齢とともにダメージを受けやすくなり、ダメージが蓄積すると歩きづらさや痛みにつながるのでしたね。

手術による治療方法についてお話する前に、治療の考え方について少しお話します。

 

前十字靭帯がダメージを受けているからと言って、靭帯そのものを修繕することはありません。一度ダメージを受けた靭帯を補強したりつなぎ合わせたりすることは基本的にはできないのです。手術の目的は①「痛みを取ること」と②「関節を安定化すること」の二点です。それによって最終的に「楽に歩けるようになること」が目標です。

 

まず、痛みを取るためには、関節の中で起きている炎症を取り除く必要があります。

膝の関節の中には、骨同士がぶつかる衝撃を吸収する半月板と呼ばれるクッションがありますが、前十字靭帯がダメージを受けていると関節の中で骨同士が接触しやすくなるため、半月板もダメージを受け、炎症を起こしやすくなります。まずは炎症を起こした半月板や前十字靭帯をきれいに取り除くことで、炎症や痛みが軽減されます。

 

次に、膝の関節を安定化するというのは、膝に体重をかけてもしっかりと支えられるようにすることです。前十字靭帯の役割は、足を地面に着くときに体の前方へかかる力を支えることでしたね。手術では、前十字靭帯そのものを修復するのではなく、靭帯のこの「役割」を補うことが目的です。

 

手術によって炎症や痛みが取れて膝の関節が安定化すれば、動物は足を安心して使えるようになります。そうして足を使っていくうちに、膝の関節の周りに2か月ほどかけて徐々に結合組織と呼ばれる組織が生まれて関節が補強されるので、関節はより安定したものになっていくのです。

 

まずは手術で痛みを取り、関節を安定化させ、足に体重をかけられるようにすること。

その後は時間をかけて関節をより強固なものに回復させること。そしてそれによって楽に歩けるようにすること。これが手術による治療の考え方です。

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