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膝蓋骨脱臼について②

2019年4月21日

こんにちは。ONE千葉どうぶつ整形外科センターです。

 

前回は膝蓋骨脱臼のお話をしました。膝蓋骨が脱臼すると歩きづらくなる可能性があり、脱臼には骨格の影響が関係しています。特に小型犬では骨格的な特徴から膝蓋骨が内側に脱臼する「膝蓋骨内方脱臼」が起きやすいとされています。

 

本日は、膝蓋骨内方脱臼の治療の考え方についてお話ししたいと思います。

 

脱臼の治療と言っても、人間の柔道整復師のように外れたものをはめて(整復して)終わり、とはいかないのです。というのは前述の記事でもお伝えしたとおり、脱臼が後ろ足の骨格全体のバランスに起因するためです。このバランスを矯正するためには外科手術が必要となる場合が多いです。

 

膝蓋骨は普段、膝の正面の靭帯(膝蓋骨とすねをつなぐバンド)に付着しており、大腿骨の先端の溝に、はまっています。また左右方向にも外側・内側支帯という靭帯(バンド)で引っ張られています。これら全てがうまくバランスをとることで、膝蓋骨は正しい位置に収まっています。

 

そのため、手術では、靭帯の向きの修正/内側・外側に引っ張る強さの調整/大腿骨の溝を深くする/周囲の筋肉のバランスの調整について、ひとつずつ矯正していきます。

 

そうしてバランスが整うことで脱臼しないようになると、足で体重を支えられるようになります。

 

そこからは足を使うことに慣れていく期間が必要です。手術部位が安定化するまで2カ月ほどはかかるため、必要に応じて水中リハビリなども取り入れながら徐々に運動機能の回復を目指します。水中のリハビリは水に浮くため、身体にかかる重力が少なくなり、早期に運動機能が回復することができます。

 

今回は以上です!特に成長期の仔犬は骨格のアンバランスが生じやすく、スキップなど歩き方に違和感が目立つようになることも多い時期です。普段から歩き方などを気にかけてみるきっかけになれば幸いです。

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