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関節炎

CASE 05

関節は体の骨組みを形成している骨と骨とをつなぐ構造物です。関節が骨同士を連結させることでスムーズに体を動かす事が可能となったり体が安定化します。その関節に炎症が生じ、痛みや関節の動く範囲(関節可動域)が低下した状態が関節炎です。関節には関節軟骨というクッションのような細胞があり、骨と骨とが直接ぶつかり摩耗しないようになっています。

関節炎によって関節軟骨に損傷や障害が生じると関節表面の弾力性がなくなり、それを補うために関節の周囲の骨が過度に増殖し骨棘(こつきょく)が生じます。関節炎では関節を構成する骨、関節包(関節包んでいる組織)、滑膜組織(関節の内層にある組織)、腱(けん)、靭帯(じんたい)、軟骨組織などが変形し、機能障害を起こします。

関節炎には膝関節の前十字靭帯の損傷や膝の膝蓋骨の脱臼、股関節や肘関節の形成不全、肘の内側鉤状突起分離などによって引き起こされる変性性関節疾患や細菌などの感染による感染性関節炎や自己免疫によって軟骨が損傷を受けるリウマチ様関節炎などがあります。

症状

変性性関節疾患の多くでは軟骨表面が糜爛し(けずれて)軟骨の下にあり痛み等の感覚をつかさどる神経や滑膜に炎症が及んだ事で痛みが引き起こされます。

関節炎を生じた動物は跛行(不自然な歩き方)したり、自分から積極的に運動する事を嫌がったり、寝起きなど運動の開始時に関節がこわばって動きづらそうにする事が多く見られます。また過度な運動をしたのちに症状は悪化します。変性性関節疾患が進行するに従い,関節の動き(関節可動域)が減少し運動能力の低下が起こります。

リウマチ様関節炎では関節内が炎症で攻撃される事によって四肢の関節が腫れ、痛みが生じるので活力の低下が認められる場合があります。

診断

変性性関節疾患は関節の動きを触診で調べたり、レントゲン写真やCT画像で関節の形状を検査する事で行われます。また関節の中の関節液を採取し、感染性関節炎やリウマチ様関節炎との鑑別を行ったり、血液を採取しCRP(C反応性蛋白)などの検査を行うこともあります。

治療法

関節炎は長期的には徐々に進行していくことが多いですが、短期的には状態の良化、悪化を繰り返していきます。関節炎による機能障害を改善させる目的で、リハビリテーションや体重管理(適切な体重まで減量する)、関節に負担になる運動を避けるなどといった生活や運動改善などに加え、疼痛緩和のため非ステロイド性消炎鎮痛剤などで治療を行います。
また疼痛や機能障害によって著しく生活の質が損なわれている場合には、関節を固定する関節固定術や人工関節への置換術を行う事も可能です。しかし、関節炎が進行して、激しい症状を出す前に、関節炎の原因となる疾患を早期に発見し、適切な治療を行う事が重要です。

関節炎にあてはまる症状
急に元気がなくなった
急に老け込んだように見える
動き出しが鈍い
脚を引きずる・かばう
脚を上げたまま歩く
立ち上がる時や歩くときにふらつく
脚を痛がる
立ち上がれない
関節炎を発症しやすい犬種
トイプードル、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨン、チワワ、柴犬、シーズー、ミニチュア・ダックスフンド、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ミニチュアピンシャー、イタリアン・グレーハウンド、サルーキ、ボルゾイ、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、(以下猫)雑種、ネコ、スコティッシュ・ホールド、マンチカン

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