犬の椎間板ヘルニア

犬の椎間板ヘルニアとは

OUR EFFORTS 01

椎間板ヘルニアは、脊椎の椎骨の間にある椎間板というクッションが飛び出して(膨れて)
神経を圧迫して神経に異常が生じる疾患です。

椎間板ヘルニアは犬で一般的な疾患であり椎間板物質の変性様式によって*Hansen Type1と*Type2に分類されます。なかでも犬の場合にはHansen Type1の発生が多く、ミニチュア・ダックスフンドは特に好発犬種です。(軟骨異栄養犬種とされるミニチュア・ダックスフンドは、1才以降から椎間板に石灰化が生じると報告されています。)

その他に小・中型犬種ではトイ・プードル、ビーグル、シーズー、ペキニーズ、パピヨンやフレンチ・ブルドッグなどに、大型犬種ではラブラドール・レトリーバーやジャーマン・シェパードそしてロットワイヤーなどで椎間板ヘルニアが生じやすいとされています。
しかし、どの犬種でも起こる可能性はあり最近は猫でも椎間板ヘルニアと診断されるケースが増えています。

椎間板ヘルニアは頸椎(首の部分)および胸腰椎(胸から腰の部分)で生じる事が多く、頸椎での発生率は14~25%、胸腰椎での発生は66~84%であると報告されています。

*Hansen Type1・・・髄核が石灰化し線維輪を破り突出したもの
*Hansen Type2・・・線維輪が押し上げられ突出したもの

犬の椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアが生じると脊髄神経が圧迫され、痛みや違和感が生じる事に加え、ふらつきうまく歩けない、足を全く動かせない、おっしっこを漏らしてしまう(排尿障害)といった麻痺の症状が生じます。椎間板物質によってどの程度、神経に異常が出ているかによって症状の程度は変わってきます。

頚部椎間板ヘルニアの場合には首の部分の激痛や前足と後足に同時に麻痺が生じる可能性があるのに対し、胸腰部の椎間板ヘルニアの場合には後足のみが動かないといった症状が出る事が特徴です。

椎間板物質が脊髄神経の通り道に突出しているのが分かります(青矢印)。また突出していないものの椎間板が変性して石灰化している部分も認められます(黄矢印)。

MR画像でも椎間板物質が脊髄神経の通り道に突出しているのが分かります(青矢印)。

椎間板ヘルニアの手術

椎頚部の椎間板ヘルニアの場合、犬を仰向けにして気管や食道を牽引し、頸椎(首の骨)にアプローチを行う腹側減圧術(Ventral Slot)が、胸腰椎の椎間板ヘルニアの場合には犬をうつ伏せにした姿勢での片側椎弓切除術(Hemilaminectomy)が適応となる場合が多くみられます。

頚部椎間板ヘルニアの場合、頚部には気管や食道、太い動脈や重要な神経が多く存在するため、手術中および術後には慎重な処置やケアが必要となります。また、胸腰部椎間板ヘルニアでも頚部同様、適切な手術を行わないと麻痺が改善しなかったり、悪化させてしまう事があります。

犬の椎間板ヘルニアの場合、多くは急に椎間板物質が突出してしまうType1の椎間板ヘルニアであるため、よほどの重度の麻痺でなければ手術によって改善する可能性があります。また中程度の椎間板ヘルニアであっても手術に熟練した獣医師が手術を行わないと脊髄神経を痛め麻痺が悪化してしまう可能性や、回復に通常よりも時間が必要となる場合あります。我々ONE for Animals はこれまで500頭以上の豊富な椎間板ヘルニアの手術の手術実績があります。

術前写真

椎間板ヘルニア(灰色)によって硬膜(白色)が背側(上側)に圧迫されています。

術後写真

術前に認められた硬膜の圧迫は解除され硬膜(白い部分)が正常な位置へ戻っています。

胸腰部の椎間板ヘルニアの麻痺の程度は1から5のグレードに分けて分類する事が多いです。(頚部の評価はまた別の指標があります)胸腰部の椎間板ヘルニアの麻痺の程度は1から5のグレードに分けて分類する事が多いです。(頚部の評価はまた別の指標があります)

  • Grade1:腰を丸めて痛そうにしている。動きが悪い。
  • Grade2:酔っぱらったようにふらふら歩く。歩く時に爪を擦っている(ナックリング)。
  • Grade3:後ろ足を動かす事ができない。
  • Grade4:足先の皮膚をつねっても痛みを感じない。
  • Grade5:足先の骨をつねっても痛みを感じない。

神経麻痺が重度になってくると(Grade4以上)排尿障害も生じてきます。

■進行性脊髄軟化症

椎間板が飛び出した時の脊髄神経のダメージが大きい場合、脊髄神経の壊死(死んでしまう)が連鎖的に生じる事があります。これを進行性脊髄軟化症といいます。進行性脊髄軟化症は椎間板ヘルニアGrade4〜5(多くの報告ではGrade5)の5〜10%で生じる可能性があると報告されています。進行性脊髄軟化症を発症してしまった場合、神経麻痺が徐々に悪化していき、最終的には呼吸をする為に重要な横隔神経(横隔膜を動かして呼吸を行う神経)が麻痺をして呼吸不全でなくなってしまう事がほとんどです。神経麻痺が重度の症例の場合、進行性脊髄軟化症の発症の有無をしっかりとチェックしていく事が重要となります。

進行性脊髄軟化症の発生と手術の有無には関係がないといわれており、椎間板ヘルニアを発症した時点でどの程度脊髄神経にダメージが生じているによって発症が決まるとされています。進行性脊髄軟化症は椎間板ヘルニアが生じた後2週間以内で発症するといわれています。現在、MR検査にて進行性脊髄軟化症の診断がつく場合もありますが、進行性軟化症の初期ではMR検査でも検出できない事があり神経検査にて臨床症状を注意深く観察していく必要があります。

椎間板ヘルニアのリハビリ

画像検査を行って、異常部位を確定させ、脊髄神経を圧迫している椎間板物質を取り除いた後はいかに早く動物が患肢の機能回復ができるかが重要となります。そのため外科手術後の理学療法が重要となってきます。

椎間板ヘルニアによる神経麻痺のため、術後には後肢の筋肉量が著しく低下しており神経麻痺に加え筋力も落ちています。その為、後肢の 位置を再認識させ、神経の再疎通を促す神経麻痺改善訓練および、神経の回復後により早く後肢を動かせるように後肢の筋肉量を増す筋肉増加訓練が必要となってきます。術後 に適切な理学療法を実施することでより早い機能回復につながってきます。

またONE for Animalsでは水中トレッドミルを用いた理学療法も行っています。水中トレッドミルは水の浮力によって後肢にかかる体重が減るため、陸上では動かせない足が水中では動くといった事があります。神経麻痺によって一度障害を受けてしまった運動機能改善のきっかけとして水中でのリハビリは有効です。

ONE for Animalsでの取り組み

これまで記載した通り、椎間板ヘルニアの治療には、CT・MRなどで正確な診断をつける事、症例経験を積んだ外科医によって神経を圧迫している椎間板物質を除去する事、術後に麻痺の程度に応じた適切な理学療法を行い機能回復を促す事、この3点が最も重要となります。

ONE for Animalsはこれまで外科手術件数のみで400件以上の椎間板ヘルニアの手術を行っており椎間板ヘルニアに対しての豊富な経験があり手術チーム・入院理学療法チームの2面から椎間板ヘルニアの治療を行っております。椎間板ヘルニアに対してのこれまでの実績や回復率はH23年度関東東京合同3学会にて発表し学術奨励賞を受賞しています。

「歩けない動物を少しでも減らしていきたい」
このような思いでONE for Animalsは治療を進めています。

整形外科を通じて、
動物たちのために尽力します。

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