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内側鉤状突起分離FCP : Fragmented Coronoid Process

内側鉤状突起分離

肘の関節は上腕骨・橈骨・尺骨の3つの骨からなります。 内側鉤状突起分離は尺骨の内側鉤状突起という部分の軟骨に亀裂が生じたり、軟骨片や骨片が尺骨から分離して痛みを生じる病気です。若齢の大型犬に多く発生し、両側性に発症することも多いとされています。関節鏡検査やCT検査で早期に発見し治療を行わないと肘関節の重度関節炎に移行してしまい、その後の外科的治療は困難となります。発育期の大型犬では特に注意をするべき整形外科疾患の一つです。

内側鉤状突起分離

原因

原因は特定されていませんが、橈骨と尺骨における成長の不均衡(アンバランス)や尺骨滑車切痕の低形成による不整合、あるいは鉤状突起部分の軟骨の異常が病因として考えられています。

症状

たまに前肢をあげるといった軽度なものから、常に前肢を挙げてしまっているような重度のものまで様々な跛行が認められます。症状は通常、成長期から成長期終了時期に認められます。

肘関節の過伸展時に痛がることがあります。左右どちらかの症状が強い場合、患肢を負重した際に頭を挙げる様な歩き方をします。

診断

内側鉤状突起分離の診断

以前はX線画像やX線CT検査が中心で行われていましたが、最近内側鉤状突起分離の診断には、これらの検査に加え関節鏡検査を実施する事で診断精度が上昇する事がいわれています。

X線画像やX線CT検査では内側鉤状突起の外観上の変化(骨折や分離)を関節鏡検査では内側鉤状突起の軟骨面の融解や変色といった性状の変化を調べる事が可能です。

治療法
内側鉤状突起を切除しないと、関節が動くたびに分離・骨折した骨片が骨と骨の間に挟まるため、非常に強い違和感や強い関節炎を引き起こします。そのため、外科的に分離・骨折した内側鉤状突起を除去することが治療の中心となります。ただし、内側鉤状突起分離は肘の構造不良から生じることがあります。その場合、分離した骨片を除去することで大きな痛みや機能障害は改善しますが、年齢とともに少しずつ関節炎が生じてきます。術後も体重管理や適切な理学療法、消炎鎮痛剤の使用が有効です。また慢性症例にはPRP療法による関節炎の疼痛防止も効果が期待されています。
内側鉤状突起分離の治療法
内側鉤状突起分離にあてはまる症状
急に元気がなくなった
脚を引きずる・かばう
脚を上げたまま歩く
立ち上がる時や歩くときにふらつく
脚を痛がる
    内側鉤状突起分離を発症しやすい犬種
    ラブラドール・レトリーバー、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマンシェパードドッグ、ピレネー、マスティフ、ロットワイラー、セントバーナード

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