小型犬のレッグ・カルベ・ペルテス病整復手術前後の比較
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レッグ・カルベ・ペルテス病(大腿骨頭無菌性壊死病)は、大腿骨頭(寛骨臼と呼ばれる骨盤のくぼみ部分にはまる、ボール状の部分)への血流が減少したり途絶えたりすることで、大腿骨頭が壊死する疾患です。
この疾患はなぜ起こるのか、具体的な原因はわかっていません。ホルモンの影響、遺伝的因子など、いくつかの要因が関係していると考えられています。 レッグ・カルベ・ペルテス病(大腿骨頭無菌性壊死病)は大腿骨頭を取り除いてしまえば再発しません。そのため、手術によって壊死した大腿骨頭を取り除いたのち、術後リハビリテーションを実施することで治療した脚の筋量回復をはかります。
小型犬に生じやすい疾患で、成長期に該当する4-12カ月齢、特に6-7カ月齢に多いです。なお、特定の犬種を除いて、発症率に雌雄差はないことがわかっています。ワンちゃんにおけるレッグ・カルベ・ペルテス病は先天性疾患のため、ヒトの成人が発症する特発性大腿骨頭壊死症ではなく、小児が発症するペルテス病と同じものとお考えください。
レッグ・カルベ・ペルテス病はほとんどが片脚に生じます。両脚に発症するのは12.5%といわれており、比較的少ないケースといえるでしょう。この病気を発症すると大腿骨頭が陥没して変形し、病変がある側の股関節を伸ばしたときに疼痛が生じるようになります。また、壊死が進行すると病変部位に負荷がかかり骨折をおこし、さらに痛みが生じることから、ワンちゃんは病変がある脚をかばって3足歩行するようになります。そのため、レッグ・カルベ・ペルテス病を発症している側の脚は、筋肉量が減ってだんだん細くなります。
ヒトが立つのと同じようにワンちゃんを後ろ脚で立たせると、股関節に負荷がかかります。そのため、レッグ・カルベ・ペルテス病を発症しているワンちゃんを立たせた場合、疼痛を感じることで片脚をあげようとする動作を確認できます。
6-12カ月齢の小型犬で、以前ほど積極的に歩きたがらないほか、後ろ脚を引きずっている動作が認められると、レッグ・カルベ・ペルテス病の可能性を考えます。 レッグ・カルベ・ペルテス病を発症したワンちゃんには、以下のような症状も見られます。
・急に元気がなくなった
・急に老け込んだように見える
・動き出しが鈍い
・脚を引きずる・かばう
・立ち上がる時や歩くときにふらつく
この疾患は、大腿骨頭に血液を供給している血管が減少することにより虚血が生じることで、大腿骨頭が壊死することはわかっています。虚血が生じる原因そのものについては、ホルモンの影響、遺伝的因子、解剖学的形態、関節包内圧、大腿骨頭の梗塞形成などの可能性が考えられているものの、未だ詳しいことはわかっていません。
大腿骨頭の状態を把握する目的で、股関節部分の画像検査を実施します。大腿骨頭壊死がある程度進行した状態であれば、X線画像で確認可能です。発症初期段階で病変部位がわかりにくいと、CT検査の結果から診断をくだすこともあります。他にも、触診で痛がり方の状態、歩行検査で歩くときの足の使い方や動かし方などを確認します。
骨が壊死した部分は回復しないため、レッグ・カルベ・ペルテス病では外科手術を実施します。
外科手術には、大腿骨頭切除関節形成術と人工関節全置換術があり、ONE for animal では前者を実施します。ワンちゃんに対する人工関節置換術は黎明期で、治療成績と合併症に関するデータが十分ではないことが理由です。大腿骨頭切除関節形成術は、異常のある大腿骨頭を切除して取り除く手術です。完全な機能改善を目的とした手術ではなく、寛骨-大腿骨間の接触によって起こる疼痛を解消することで、機能障害を改善させる目的で実施します。
関節が1つ無くなることについて日常生活に問題が出ないか心配になると思いますが、手術後は「偽関節」(周りの筋肉や新たに再生される組織による、いわば偽物の関節)ができ、それが支えになるため、関節がなくなってしまっても歩行は可能ですので日常生活は問題なく過ごすことができます。
レッグ・カルベ・ペルテス病による機能障害により、病変がある側の脚は筋肉量が落ちています。ワンちゃんは3足歩行での生活に順応しようとするため、手術をしたからといってそのままでいても、筋肉量と関節機能の回復は見込めません。そのため、手術後は水中リハビリテーションを早期に開始することもレッグ・カルベ・ペルテス病の治療では重要なポイントになります。
術後リハビリテーションには、陸上で行うもの以外にプールで実施する水中リハビリテーションもあります。近年ではリハビリテーションにも注力する動物病院が増えてきました。検査や手術はもちろんですが、動物病院を選ぶ際には術後リハビリテーションもしっかり行える体制とノウハウを有していることをチェックするのも重要です。
ONE for animal では、リハビリテーションの考案と実施を専門に行う獣医師が在籍しています。アメリカのテネシー大学が考案するイヌ向け理学リハビリテーションプログラム(CCRP)を受講した獣医師と、ヒトの理学療法士の資格と動物看護師資格を有したスタッフが、ワンちゃんの状態を考慮したリハビリテーションを実施しています。
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大腿骨頭切除関節形成術を実施して大腿骨頭そのものを取り除いてしまえば、治療後にこの疾患を再発することはありません。大腿骨も壊死するのではないかと心配されることもありますが、レッグ・カルベ・ペルテス病は大腿骨頭に血液を供給する血管がだめになることで生じる疾患です。大腿骨頭が壊死したからといって、大腿骨そのものが壊死することはないとお考えください。
レッグ・カルベ・ペルテス病を治すには、早期発見と早期治療はもちろん、術後リハビリテーションも重要です。特に術後リハビリテーションは、患肢の筋肉量と股関節機能の回復、ワンちゃんへの負担を考えると、水中リハビリテーションが有効です。水中リハビリテーションも実施可能な設備とノウハウを兼ね備えている医療機関を選ばれてください。